One Loop × Layer Arrangement / MV Style — Measured Edition

ワンループ×レイヤー構成
MV系楽曲テンプレ

コード進行は4小節ループ1個だけ。展開は「トラックの出し入れ」で作る。数値はすべて実在曲のステム解析による実測値。

汎用DAW対応 4小節ループ×1 実測データ準拠

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BPM(実測)
137
Key(実測)
B♭m → 打込はAm
拍子
4 / 4
トラック
6本

このテンプレの考え方

普通の曲はセクションごとにコード進行が変わることで時間が進む。分析した曲は4小節のループ1個がほぼ全編を支配し(サビだけ2コード交互)、 代わりに①どの帯域に何を置くか(帯域の塗り分け)②どのセクションでどのトラックを鳴らすか(レイヤーの出し入れ)で曲を成立させている。 MVと一緒に流れる前提の音楽では、場面転換は映像が担当するので、音側はこれで足りる——という設計。以下の数値は全てステム解析の実測。

STEP 0:ループを覚える(コードはこれで終わり)

実測キーはB♭マイナー。打ち込みやすいようにAマイナーへ移調した版で作る(構造は同一)。

メインループ(イントロ・Aメロ・2番…ほぼ全部これ)
Am
実測: B♭m(i)
Am
実測: B♭m(i)
C
実測: D♭(III)
G
実測: A♭(VII)
サビだけ(2コード交互)
C
実測: D♭(III)
E
実測: F(V)
C
実測: D♭
E
実測: F
💡 実測メモ i → III → VII のループはマイナーキーの最頻出パターンのひとつ。終盤は全体が2半音上(実測でCm/E♭圏)へ持ち上がる「ラスサビ転調」の挙動も検出された。まずは転調なしで完成させ、余力があれば最後のサビだけリージョンごと+2半音してみる。

STEP 1:帯域の地図(ステム実測値)

各ステムのエネルギーがどの帯域に集中していたかの実測。全員の「住所」が見事に分かれている。

ギター
400–1k
2.5–6k
実測: 400-1k 33% / 2.5-6k 30%(二山)
シンセ(上物)
400–1kHz
実測: 400-1kに55%集中
150Hz–2.5kHz
実測: 400-1k 38% / 150-400 28% / 1-2.5k 22%
ピアノ(パッド役)
150–400Hz
実測: 150-400に76%集中
ドラム
20–150Hz
実測: 20-150に83%(キック支配)
ベース
60–150Hz
実測: 60-150 63% / 20-60 14%。400Hz以上ほぼゼロ
20Hz100Hz500Hz2kHz10kHz
💡 実測が教えること ベースは400Hz以上をほぼ持たない=倍音を削った「低域専任」。ピアノは76%が150–400Hzに集中=コードを鳴らすというより低中域を面で埋めるパッド。 そしてシンセと歌は同じ400–1kHzに住んでいる——この競合をどう解決しているかがSTEP 2の構成表に表れる。

STEP 2:構成表(実測RMSから復元したレイヤーの出し入れ)

各ステムの音量推移から復元した実際の構成。コードは変わらないのに、この出し入れだけで2分49秒が持つ。

イントロ
8小節/歌あり
間奏
8小節
Aメロ
12小節
サビ
12小節
落ち
8小節
2番
12小節
サビ2
20小節/+2転調
ソロ
8小節
中央1本
中央1本
ワイド
中央1本
中央1本
ワイド
ギター
ON
ON
ON
前面!
シンセ
ON
ON
ON
抜く
ON
ON
抜く
ピアノ
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ベース
後半IN
ON
ON
ON
完全OFF
ON
ON
ON
ドラム
フル
フル
フル
フル
フル
💡 実測で見つかった3つの技サビでシンセが抜ける:歌と同じ400–1kHzに住むシンセを、歌が主役の場面で退避させている。帯域の競合をアレンジ(出し入れ)で解決する実例。
落ちでベースが完全OFF(実測-135dB=無音):低域を根こそぎ抜いてサビ2の落差を最大化。
アウトロは歌が消えてギターソロ:最後の8小節でギターが約8dB前に出る。歌の帯域が空いた席にギターが座る。

STEP 3:打ち込み表(Am移調版)

トラック 置く音 リズム 実測からのメモ
ピアノ Am: A2+E3+A3+C4
C: C3+G3+C4+E4
G: G2+D3+G3+B3
ループのコードを密集で
全音符。小節頭で押さえて伸ばす 低中域(150-400Hz)を面で埋める係。高い音域に広げない
ベース A1 / A1 / C2 / G1ループのルートを追う 基本は全音符〜2分。サビは8分で刻む 音色は倍音の少ないシンセベース。EQで400Hz以上をカット(実測でほぼゼロ)
シンセ A4→B4→C5→E5Amペンタから4音 8分ループ。2拍で1周 400-1kHzの住人。サビでは必ずミュート(構成表①)
ギター コードトーンを単音でなければ省略可 サビ・2番でバッキング、最後の8小節でソロ 実測は400-1kと2.5-6kの二山。ソロは高い方の山で弾く
メロ(歌) A・C・D・E・GAmペンタ/A4〜A5 2小節単位で同じ形を繰り返すと様式に合う 歌でもリードシンセでも可。広げ方はSTEP 5
ドラム基本形(実測: Aメロ〜サビ共通の骨格)— 1小節。コピペで増やす
1
e
+
a
2
e
+
a
3
e
+
a
4
e
+
a
Hat
Snare
Kick
↑ 四つ打ち+2・4拍スネア+8分ハット(実測グリッドと一致)。サビは4拍目のキックを16分で2連にすると実測の「追い打ち」が再現できる

STEP 4:歌の広げ方(実測L/R分析より)

🎤 実測結果 Aメロの歌はL/R相関 0.97=中央1本(同じ素材を中央に重ねても計測上は1本と区別できない)。 サビはL/R相関 0.3〜0.6、周波数コヒーレンス 0.1〜0.3=左右に「別内容」の声が置かれている。単なる同一コピーの左右振りではなく、左右で中身が違う。
🎛 テンプレでの再現手順 Aメロ:メロは1トラック、パン中央。それだけ。
サビ:メロのリージョンを複製して2トラックにし、L100/R100に振る。そのうえで左右を「別物」にする——片方を+10〜20セント持ち上げる、フォルマントを少しずらす、タイミングを崩さず別テイクを録る、のどれでも可。左右が同じままだと中央に戻って広がらない(実測が示す通り)。

作業順

1
プロジェクト設定:BPM 137・4/4
トラック6本:ピアノ/ベース/ドラム/シンセ/ギター(省略可)/メロ。サビ用のメロ複製トラックも1本。
2
ループを4小節作る:Am | Am | C | G
ピアノ(全音符)とベース(ルート)だけでよい。これが曲の地面。
💡 できたら曲の長さぶん全部コピペ。ループは最後まで変わらない
3
ドラム基本形を1小節→コピペ
上のグリッド通り。イントロと落ちは後で音量を下げるか間引く。
4
シンセ8分ループを乗せる
A4→B4→C5→E5。EQで400Hz以下をカットして住所を守る。
5
構成表どおりにリージョンを消す
全部並べてから、STEP 2の表で「—」「抜く」のリージョンを削除。特に:サビのシンセを抜く、落ちのベースを消す。
💡 展開を作る=どこで何を黙らせるか決めること
6
サビだけコードをC | E交互に差し替え
サビ区間のピアノとベースだけ、C→E→C→Eに置き換える。Eの音はE2+B2+E3+G#3(ベースはE1)。
7
メロ→サビでワイド化
Amペンタでメロを作り、サビ区間だけSTEP 4の手順で左右に広げる。
8
仕上げ:帯域の掃除と、余力があれば+2転調
STEP 1の実測帯域に合わせてEQで各トラックの住所の外を削る。最後のサビをリージョンごと+2半音すると実測曲と同じ挙動になる。

チェックリスト

4小節ループ(Am|Am|C|G)以外のコードを使っていない(サビのC|E交互を除く)
ベースのEQで400Hz以上を削った(実測準拠)
サビでシンセを抜いて歌に帯域の席を空けた
落ちでベースを完全に消した
サビの歌を左右で「別物」にして広げた
通して聴いて「ループ1個なのに飽きなかった」
元になった曲を聴き直して、同じ場所(サビのシンセ抜き・落ちの無音ベース・アウトロのソロ)を確認した